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1−4.

初期の社会不安や政治不安もなくオーストラリアにはオンブズマン制度が比較的平穏に導入されたので、オーストラリアのオンブズマン制度が、州あるいは地域の憲法の文書や憲法の条項、あるいは連邦憲法にしっかりと明記されていないことがわかっても恐らく驚くことはないであろう。このことは、憲法がオンブズマンのために特別な条項を置いている多くのアフリカ諸国や比較的新しい憲法によってオンブズマンも認められている太平洋諸国の状況とは全く対照的である。

例えば、ナンビア、南アフリカ、ソロモン諸島、フィジー、バヌアツ、パプア・ニューギニアの憲法に〔オンブズマンが〕明記されている。また、こうした状況は、アルゼンチンの「護民官National Defender of the People」(オンブズマン)やメキシコの「人権コミッショナーNational Commissioner for Human Rights」(オンブズマン)のための憲法の条項を有する、ラテンアメリカと同じく、スウェーデン、デンマーク、スイスのような、そして新しく出現した東欧の民主国家を含めて、数多くのヨーロッパ諸国でも見られる。こうした状況についてのさらなる情報は、国際オンブズマン協会の公式プロフィールの改訂版(I.0.I.発行−1996年)でわかるであろう。ヤコビーと私は、オンブズマン制度を憲法で承認することは公共の利益であると別々の論文で論じている。

 

国の憲法でオンブズマン制度をしっかりと明記することが必要なのか、あるいは少なくとも望ましいのかという問いに対する答えは、その国の憲政史や政治史の綿密な分析によって、また、支配者と被支配者との効果的な架け橋であることが明らかになってきたオンブズマンのような制度の存在に、憲法の保障を付与することへの一般の人々からの何らかの要求の分析によって与えられるであろう。何らかの政府機関に対して効果的に苦情を言うためには、あらゆる市民の自由は、憲法の条項によっても保障されねばならない、といわれるであろう。憲法の条項において以前から政府のシステムが存在してきたのであり、実際に政府活動についての一般国民の非難も思い止まらせてきたのであるから。

 

1−5.

ごく最近の世界における〔オンブズマン制度の〕発展が明らかに見られるのは、北米地域において、カナダのユーコン〔準州〕地区のオンブズマンが1996年7月1日に設立されたことである。カナダには国のオンブズマンはなく、州のオンブズマンが設立されてきただけである。ウィニペグ市の議会オンブズマンも創設された。現在、モントリオール市には市のオンブズマンがある。アメリカ合衆国では、アリゾナ州のオンブズマンが、議会オンブズマンの理念をなおも抱く40を超える州の一つとして設立された。

 

北米地域の傾向の数多くは、次のような、オーストラリア・太平洋地域のところで経験されてきた傾向と同じである。つまり、オンブズマンの役職がかなり大きな予算削減を経験しなければ

 

 

 

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